
如意輪観音像(にょいりんかんのんぞう)
制作年不詳 木彫一部彩色 高31.0cm(台座含む)
仏龕(ふつがん)という形式のもので、中央には如意輪観音が、右膝を立ててゆったりと座わっている。仏教では、地獄や餓鬼などの六道(りくどう)世界に輪廻(りんね)(生死を繰り返すこと)する私たちを六尊の観音が救ってくれるとされるが、本作の扉部分にはそうした思想に基づいて三尊ずつ、合計六尊の観音が配されている。それに隣接するフレーム内部には四体ずつ飛天(ひてん)が彫出されており、その燃え盛る火焔(かえん)のような天衣(てんね)の、斜め上方に刻まれた単調なリズムが、強い視覚的効果を生んでいる。